モーガン・ハウセル著
経済的成功と失敗の要素
- 経済的な成功は、ハードサイエンス(物理学や数学など)では得られず、どう行動するかというソフトスキルが重要。複雑で難しい人間の心理や行動が大きく関係している
- 人々の間でお金に関する見方、考え方は、生まれ育った環境によって異なる
- 人は経済的判断を行う時に、その時点で得た情報を自分独自の世界に当てはめて正当化する
- それは間違った判断を伴う場合もあるが、人間が金融システムを構築したのが歴史上最近の話であるため、お金に関する判断はほとんどみんな素人であるためである
- 経済的な成功と失敗は「運」と「リスク」の要素が大きい。物事が順風満帆に見えても自分が思っているほどすべてがうまくいっているわけではないという戒めの気持ちを忘れてはいけない
- 富の比較ゲームに参加してはいけない。他人と収入を比較してもキリがない。必要以上のリスクをとるのをやめるタイミングを見極め「もう十分」と考える大切さを知ることが重要
複利の力を使うために時間軸を長くとる
- 裕福になることと裕福であり続けることは別モノ。裕福であり続けることの方が難しい。短期に大きなリターンを得るより、経済的に破綻しないで長期的なリターンが出る事を目指す。複利の力を利用すれば、長期的に資産を増やせる。短期的な損失に見舞われても、長期的に見れば物事は自分の望む方向に進むと信じ、未来に楽天的であるべし
- 長期的な資産形成の中で、少数の事象が経済的成功・失敗の大部分に影響を及ぼすテールの力が働く。ビジネス・投資・金融の世界ではテールが全てを動かしている。
- お金が人生にもたらす最大の価値は「自由」。自分の時間をコントロールできるようにしてくれる。どんなステータスある仕事でも「好きな時に、好きな人と、好きなことができる」生活を送れる方が人を幸せにできる
時間軸を長くとるためのリスクヘッジ
- 「ウェルス(富)」と「リッチネス(物質的豊かさ)」の違いを知っておかないと、経済的な決定場面での判断ミスにつながる。富は将来的に今よりもっと多くものを買う選択肢や柔軟性、成長をもたらす事に価値がある。富は収入から支出を引いて残ったもの。「倹約」と「効率化」が富を築く原動力である
- 目的のない貯蓄はリスクに対する備え。長期的な資産形成の中で負のテールの力が働いた時の備えである。将来は何が起こるか分からないということを教訓にすべき。自分が誤った判断をしても。計画通りに進まないことも想定して、「誤りの余地」を残しておかなければいけない。
時間軸を長くとるための考え方
- 時間軸を長くとると、様々な意見や考えに影響され、間違った判断をしてしまいやすい。特に経済的に悲観的な情報は影響力が強い。
- また逆に経済的情報を自分にとって魅力的なものに都合よくとらえて予測してしまう。魅力的なフィクションが自分の経済的な目標や見通しにどう影響しているかに、常に注意を向けなければならない。
- ファイナンスに唯一の正解はない。様々な情報を理解、分析し、自分にとって有効な答えを見出していくことが重要。
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